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執筆者の写真Kazuo Kanamori

バカンス中の大事件 

更新日:2020年11月7日

本稿は、リバイバル新聞1999年9月号掲載原稿です。 金森一雄

1.信仰による旅立ち 

高一になった雅葉が、

「ヴェルサイユ宮殿とウエストミンスター寺院に行ってみたい。」

と言うので親馬鹿ぶりを発揮して「パリ・ロンドン9日間の旅」を計画しました。

妻の涼子は、退院したばかりの超体調不調の状態。

それでも、

「私も行くわ。でも具合が悪くなったら、

遠慮しないでパパと二人で行ってらっしゃい。」と言い、

娘の雅葉は「お母さんが行かれなければ行かなくてもいい。」と、

妻と娘の会話が続く。

私には二人の本心が分かりません。


「今年の夏、ヨーロッパに行かれますように。」と、

家族三人が懸命に祈る日々が続きました。

海外旅行は早めの予約が必要だし、一方でキャンセルフィーも気になる存在で、

最後の決断がなかなかできません。

とりあえず、私の仕事のスケジュールから8月の第三週という日程だけ決めました。

妻は、「人間元気だと思っていても急に病気になることもある。

御心ならこの旅行に行かれる」 と妙に信仰深い。

私は、「自分たちの都合の良い祈りをするような御利益信仰では駄目。」と 

持ち前の理屈っぽさと不信仰さを暴露しました。

娘よ。あなたの信仰があなたを直したのです。

安心して帰りなさい。病気にかからず、すこやかでいなさい。

  (マルコ第5章34節)

この聖書箇所を読み、妻と娘の祈りを聞いているうちに、

合理的な思考からようやく解放されて、旅行費用を払い込みました。

更に、自分の不信仰さを断ち切るつもりで海外旅行傷害保険にも入らず

念を押しました。

(真似をしないでください。海外旅行保険に入られることをお勧めします。)



2.富士銀行がなくなる 

パリのホテルでCNNのチャンネルに合わせると、

第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行が統合し、

新しい金融グループを結成すると言う報道に出会いました。

バカンス休暇中に、しかも外国の地で、

自分の働く会社が消えるという知らせですから驚きを隠せません。

そんな時イエスさまがこう語ってくれました。

そういうわけだから、何を食べるか、何を飲むか、何を着るか、

などと言って心配するのはやめなさい。

こういうものはみな、異邦人が切に求めているものなのです。

しかし、あなたがたの天の父は、

それがみなあなたがたに必要であることを知っておられます。

だから、神の国とその義とをまず求めなさい。

そうすれば、それに加えて、これらのものはすべて与えられます。

だから、あすのための心配は無用です。あすのことはあすが心配します。

労苦はその日その日に、十分あります。

  (マタイ第6章31~34節)

  「統合や合併する会社の社員が、自分の将来のポストに不安を感じている。」

といった 報道を目にしますが、私は既にこの時、

「私の働く場は、神様が用意していてくださっている。」と、

確信することができました。

そして何の不安もなく予定通り、このバカンスの旅行日程を進めました。

3.主はいつも共におられる 

バッキンガム宮殿が一般開放されていると聞いて見学に出かけました。

「ここから美智子さまが入られたのだ。」と、

自分達もエリザベス女王からお招きを受けたような錯覚に陥って、

悦に入っていました。


ダイアナ妃の葬儀の行われたウエストミンスター寺院に行くと、

「ダイアナ妃の葬儀の時、ここにブレアー首相がいた。

エルトン・ジョンがここでピアノを弾いた。」

などと興奮していると、妻が急にめまいがすると言い出し、

各国の首相が座っていたと思われる中央の席で休息することになりました。

娘の雅葉は涙をこぼしながら母の体調回復を祈っていました。

「ここで1時まで祈ろう。」ということになり、感謝の祈りを続けました。

祈り終わって目を開けると、私たちの目の前にシスターが立っておられ、

微笑みかけていました。

そしてシスターは講壇に登られ、コソボ問題、トルコ大地震をはじめ

全世界の平和を祈る祈りを導かれました。

私たち家族三人もこの祈りの輪に加えていただき、

そして、いつしか妻の涼子の体調もすっかり癒され、

平安を得ることができました。



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