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執筆者の写真金森涼子

涼子の討ち入り    

更新日:4月5日






12月14日の赤穂浪士の討ち入りにはちょっと早いけれど、

今日私は、『涼子の討ち入り』をあなたにした。

この17年間、あなたは家庭を顧みなかった。

仕事が一番、バレ-・ボ-ルが二番、・・・・、私が最後と。

あなたが一人で洗礼を受けて、クリスチャンになり、

またしても私は、置きざりにされた『涼子チャン』になった。

そして、あなたは教会からも帰って来なかった。

朝6時に家を出てから、もう午後7時半を過ぎている。

すでに、日曜日の今日も13時間半たっている。

私は、家の明かりを消した。

心の鍵と玄関の鍵をしっかりかけて、ドアチェ-ンまでした。

車の音がした。あなたの車の音。

車庫から玄関へ、あなたがチャイムを鳴らす。

私は、出ない。絶対出ない。

怒っている。

あなたが「開けてよ-」っと、玄関で叫んでいる。

私は、ベッドの上で天井を見つめる。

私の心は冷蔵庫。今や、冷凍庫になった。

あなたが叫べば、叫ぶほど、不思議なくらいに私の心は凍る。

「行きたいところがあるのなら、どこにでも行けばいい。

外好きのあなたは、好きなだけ、好きなことをすればいい。」

あなたは歩いてどこかに出かけた。足音が段々、家から遠ざかる。

「これでいい。もう終わりにしよう。寂し過ぎる。

私はもう、待つことに疲れた。」

明日のことも、明後日のことも、雅葉のことも、何も考えなかった。

今そこにある自分の心を、イエス様に預けて助けを求めた。



イエス様が私におっしゃた。

「この討ち入りは、今までの復讐ではないよ。涼子行きなさい。

これからの長い人生を、もっと良いものにするためなのだから。」

二時間後ぐらいに、あなたがチャイムを鳴らした。

絶望のどん底に落ちたあなたと私。

この時、誰かが、昼寝から夕寝に入っていた雅葉を起こした。

普段、たたいても、くすぐっても起きない雅葉が起きた。

何も知らないで、玄関のドアチェ-ンをはずし、

「パパ、お帰りなさい。」と出迎えている。

「ママは?」と、主人が聞く。

「眠ているみたい。具合が悪いみたい。」と、雅葉が答えている。

私は、暗やみの中でじっとしていた。静観していた。

時計は、9時半をさしている。

主人と雅葉で、夕ご飯の用意をしてくれた。

みそ汁と豚肉のしょうが焼き。

雅葉がベッドまでめずらしく運んでくれた。

主人はどこに?・・・ なぜか気になる。

私はベッドの上で、胸が締めつけられるような気がした。

一人で泣きながら、夕ご飯を食べた。

「不満を全部ぶっつけてごめんね、あなたはどこで甘えるの?」

私のわがままが過ぎている。

不思議と、翌週、田淵牧師から私に電話。

「早朝礼拝は、一時の間お休みにしましょう。

ご主人は、忙し過ぎるから。ご主人に伝えてください。」

私のわがままが、ここまで届いている。

神様助けてください。

私はまだ『涼子チャン』です。完全なクリスチャンにいつなれるの?

意地悪で、元気な私。なのに、病人なの。

心の病人なの。


主人へ、「あなたがいるから、私がいる。」

雅葉へ、「あなたがいたから、生きていた。」

イエス様ありがとう。今日まで、こんな私を見守ってくださって。


後日、あるクリスチャンの集会であなたがこの日のことを証しした。

「ドアをたたき壊したい衝動に駆られた。

以前の僕なら、ドアをたたき壊していた。

家の中に押し入って、逆に妻を責め倒すこともしただろう。

でも、イエス様が教えてくれた。

仕事で疲れている男を少しでも家庭で休めさせたい妻の優しさを。

神様が一番、二番は妻と家庭。

妻の今の気持ちが、大切だ。

すべての問題は、イエス様にお委せした。

そうしたら、おなかもすいたしラ-メンでも食べてこようと思った。

車で出かけると、妻が余計不安になると思い、歩いて出かけた。

イエス様にお祈りして、散歩しながら家々の明かりを見た。

すべては、イエス様が整え解決してくださると思った。」








   


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